日本の山に多い針葉樹の杉の木は、環境さえ整えばまっすぐに成長します。
日本人はそれをうまく使って家をつくってきました。
木の柱(縦材)を立てて、そこに梁(横材)をかけて、さらに屋根をかける。
この柱と梁の骨組みでできた原始的な家づくりが、現在の木造軸組工法になりました。
木造軸組工法では地震に強い性能をもたせるために、柱と柱の間に壁をつくります。
この壁はバランスさえよければ自由に配置することができます。
最初につくった壁を、数年後に別のところに移すこともできます。
このように構造上重要な耐力壁を移動することができるのが木造軸組工法の特徴です。
家というのは家族の生活する場です。
子どもが生まれ、育ち巣立っていく。
その過程で必要なスペースは変化していきます。
その変化に柔軟に対応できるのが間取りの自由度の高い木造軸組工法なのです。
家づくりの考え方に「 S I 」というものがあります。
「S」はスケルトン、あるいはサポートのことで構造などの大きな骨組みです。
大きな骨組みは社会の資産として何十年、何百年と使い続けていくものです。
「Ⅰ」はインフィルで、スケルトンという大きな骨組みの中に生活に必要なものを入れていく、それがインフィルです。
インフィルは変化するもの、住まいや住まい方によって変わっていくものです。
この「 S I 」という考え方は、可変性をもった木造軸組工法の木の家によくなじみます。
しっかりとした自由度の高い骨組みをつくれば、それがスケルトンとなり、世代を超えて使い続けることができる社会的な資産となります。
いままでの建てては壊すというスクラップアンドビルドの考え方から抜け出して、資源を大切に使うということができるのです。
具体的には、木造軸組工法の木の家は増改築のときに柔軟に対応できることが特徴として挙げられます。
柱と梁で組み上げますから、梁で補強すれば柱を抜くこともできます。
子ども部屋を間仕切りのない自由なワンルームとしてつくっておいて、子どもたちの成長とともに間仕切り壁をつくろうか、あるいは間仕切り壁なしのほうがいいかも、という可能性をもたせています。
こういう自由な家づくりを可能にするのも木造軸組工法のポイントです。
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